名著「毒になる親 一生苦しむ子供」と毒親からの卒業

今日は「毒親」という言葉のもとになった書籍「毒になる親 一生苦しむ子供」を紹介します。

著者はスーザン・フォワードさんというアメリカの医療関係のコンサルタントでグループセラピスト・インストラクター。
原題はtoxic parents(有毒な親)。
1989年に出版され、日本では和訳本が1999年に発売されました。

「毒になる親」の定義は「子どもの人生を支配し、子どもに害悪を及ぼす親」。
第一部:「毒になる親」とはどんな親か では、毒親を7つに分類して詳細を説明しています。

1)「神様」のような親
:ギリシャ神話の神様のように、気まぐれ・非合理に、子供を罰する親
2)義務を果たさない親
:「子供の心身のニーズに応え、安全を守る」「生きていくために必要な道徳や倫理など教える」など、親としての基本的な責任をはたさない親
3)コントロールばかりする親
:いわゆる過干渉な、いつも子供をコントロールしていないと気がすまない親
4)アルコール中毒の親
:家庭内で「嘘」「言い訳」「秘密」が当たり前になり、子供ははかりしれない不安で混乱した心理状態となる。「リビングルームにいる恐竜」のような親
5)残酷な言葉で傷つける親
:言葉による暴力は、時に肉体的暴力より人を傷つける。侮辱的なののしり、はずかしめ、バカにした言葉で子供を傷つける親
6)暴力をふるう親
:「しつけ・教育」と正当化して子供に暴力をふるう親。父(母)の暴力を止めずに見て見ぬふりをする母(父)もこれにあたる
7)性的な行為をする親

6)と7)に関しては、明らかに「毒親」から「虐待」を受けたと認識している方が多い。

でも1)~5)に関しては、「大したことはない」「親にも事情があった」と自分を頭で納得させ、自分の苦しみ・トラウマに蓋をしている方が多いように思います。

わたしには3人の毒親、父・母・継母がいて、彼らをつうじて1)~5)の内容を経験しました。
でも、「こんな小さなことで悩むなんて、恥ずかしい」「自分が悪いからこんなことになるんだ」と、自分の苦しみを矮小化し自分自身を責めて、長い間 虐待の内容や苦しみを誰にも話すことなくひとりで悩んでいました。そしてうつ病や適応障害を患い、そんな自分をさらに責めていました。

その頃に本書を読んでいれば、もっと早く自分が置かれた状況を客観視して的確に把握でき、もっと早く治療やサポートをうけ、もっと早く適切な行動をおこせたと思うのです。

本書が秀逸なのは、後半で毒親から卒業する方法が明確に示されていることです。
第二部「毒になる親」から人生を取り戻す道 には、以下のことが記されています。

1)「毒になる親」を許す必要はない
:時に「許し」が親に対する「怒り」を心の奥底に封印し、ラクになるどころかさらに辛い心理状態になる場合がある
2)「考え」と「感情」と「行動」のつながり
:考え→感情→行動のつみ重ねが人生をつくる。このつながりが過剰に親にからめとられていないかをチェックリストを使い確認する
3)自分とは何者かー本当の自分になる
親を変えることは目的ではない。自分自身で考え、感じ、行動できること、本当の自分になることが大切なのだと学ぶ
4)「怒り」と「悲しみ」
:子供時代の辛く悲しい出来事の責任が親にあることを認識する。そして怒りを監理し、悲しみを処理する方法を学ぶ
5)独立への道
:1)~4)で心の準備をし、「毒親」と正面から向き合い「対決」する。

親と正面から向き合い自分の意見や気持ちをはっきり伝えること、その勇気を持つことが大切で、
親に復讐したり親を罰することが目的ではなく、たとえ親が話を聞かづ全く受け入れてくれなくても問題ない。

本書の意見に、私もまったく同意します。
大切なのは毒親のトラウマから卒業し、自分で自分の人生のハンドルを握ること、自分で自分の人生の責任者になることなのです。

 

30年以上前に書かれた本ですが、全く色あせることのない内容。
親との関係に悩むすべての方におススメしたい名著です。

 

本書にも記されていますが、ひとりで毒親から卒業することは時に困難です。
もしよければ、私に卒業のサポートをさせてください。

 

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